検察決定をうけての救援会声明
12月4日、渋谷駅周辺の路上で「在特会」「主権回復を目指す会」「排害社」らが、「黒い彗星」こと崔檀悦(チェ・ダンヨル)に行った集団暴行事件は、暴行の加害者が放置され、暴行の被害者が逮捕されるという前代未聞の事態を生みだしました。渋谷署の不当逮捕に対して、東京地検は勾留を認めず被疑者とされた青年を釈放しました。
まず私たちは、現場にあたった渋谷署の不当逮捕に抗議します。渋谷署が行った逮捕手続の不当性、被害者に対する指紋採取の不当性、被害者に対して必要な医療措置を怠ったこと、暴行加害者を充分に調べることなく帰宅させたことを、弾劾します。
12月29日、東京地検は、不当に逮捕された被疑者に対し、不起訴処分(起訴猶予)という決定を下しました。
私たちは、東京地検の判断に抗議します。私たちは現場の映像をもとに、被疑者が暴行を加えていないことを明らかにし、被疑者の無実を訴えてきました。検察に対しては、弁護士からの意見書を通じて、「不起訴(嫌疑なし)」と決定するよう要請してきました。今回の「不起訴(起訴猶予)」という決定は、渋谷署の不当逮捕を容認し、「在特会」ら暴行加害者の誤った主張が野放しとなるなか事実を曖昧にするものだと考えます。
さらに私たちは、今回事件を担当した検事に、おおきな疑義を抱いてます。検事は被疑者との決定前日任意面談の際、容疑とされた暴行について触れませんでした。容疑の焦点となっているのは、被疑者がデモを妨害したかどうかではなく、暴行を加えたか否かであったはずです。なぜ検事は、暴行について触れることなく面談を打ち切り、はっきりしない曖昧な決定に至ったのか。誰が暴行し誰が暴行されたのか、検事ははっきりと分かっていたはずです。
今回の事件は、日本社会と日本行政の腐敗・堕落を明らかにしました。現在の日本では、人間を不当に貶める差別表現が容認され、さらには、差別する者たちのおぞましい集団的暴力が容認されてしまっているのです。
私たちはこうした現実に失望するとともに、大きな危機感を抱いています。不当な差別と暴力を許さない、けっして容認しないという決意をあらたにし、今後も多くの人々に問題を訴えていきたいと思います。
何度でもくりかえし訴えます。
私たちは絶対に差別を許さない。
闘いは、これからだ。
2010年12月30日 「12.4 黒い彗星★救援会」